“おばちゃんマインド”で外国人案内 英文の大阪弁訳片手に大阪の素顔紹介、きょう2年

「大阪から日本を元気にしたい」と、来阪した外国人観光客を“大阪のおばちゃん”の軽妙なノリで楽しく案内し、草の根で国際親善に努めている女性がいる。外国人向けウオーキングツアーを展開する通訳ガイドグループ「オールスター大阪ウォーク」の安藤美直子(みなこ)さん(54)。「Hello=まいど」などと英語を大阪弁に訳した自作のペーパーを配り、一歩踏み込んだ素顔の大阪を紹介。同グループは1日で創設2周年。安藤さんがこれまで案内した旅行者は約1300人に達している。

 「行こか!」。平日の朝、JR大阪駅(大阪市北区)構内に、ツアー開始を告げる明るい声が響いた。この日の参加者は、70代の米国人夫婦と20代のカナダ人女性。ツアーは毎週火、木曜日の開催で、料金は3時間3千円、飛び込み参加もOKだ。

 キタ、ミナミ、新世界(同市浪速区)を巡るコース。立ち寄った土産物店でお吸い物を試食するなど、手軽に日本の味を楽しむ。

 「Good morning=おはようさん」「Hello=まいど」「Different=ちゃう」…。移動中の地下鉄車内で「役に立つ大阪弁」と書かれたA5判のペーパーを配布した。「おはようさんの『さん』には、リスペクトの意味が込められているんですよ」。流暢(りゅうちょう)な英語で語りかける。ペーパーは、言葉からも大阪を感じてもらおうと、ツアー発足時に自作。参加者に好評だ。

 新世界では、昭和の雰囲気が残る路地裏に入り込んだり、通天閣を仰いで串カツを食べたりと、参加者も興味津々の様子だった。

 

通訳案内士の専門学校を卒業後、大手旅行会社と契約し、大阪で外国人向けにガイドをしていた。転機は平成23年3月に発生した東日本大震災。訪日外国人が激減したことを憂慮し、同年8月1日に専門学校時代の知人、渡辺晶江さん(41)と「オールスター大阪ウォーク」を立ち上げた。

 心がけているのは、大阪と旅行者との距離感を縮めること。新世界でたばこ屋を営むおっちゃん、法善寺のおばちゃん…。ツアー中の昼食時、偶然隣の席になった人も会話に巻き込む。

 「大阪人はおせっかいで面倒見がいい。ラテン的なノリの大阪は、特に親しみやすく、観光客を受け入れる土壌がある」

 これまで、米国や豪州、スリランカ、パラグアイなど35カ国以上の旅行者を案内。最近は英語だけでなく、仏語、韓国語、中国語にも幅を広げ、同グループのガイドは計7人に。韓国語のガイドは、もともとツアーの参加者だった。

 人と人との出会いは、さまざまな可能性を秘める。「まずは個々を認め合うことこそが『真の国際化』につながると思う。そこから国同士の大きな関係に広げていけたら」。安藤さんの挑戦は続く。

 

出典:MSN産経ニュースWEST

http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130801/wlf13080113500006-n1.htm