観光庁、ASEAN対象に商談会

経済成長が著しい東南アジアの旅行需要を取り込もうと、ASEAN(東南アジア諸国連合)に加盟する6カ国の旅行会社など約120社を招待した訪日旅行商談会「Japan—ASEANトラベルマート」が17日、東京都内のホテルで開かれた。日本国内の観光関係企業・団体や自治体などが出展し、観光資源や旅行商品を売り込んだ。商談会を主催した観光庁では、6カ国合計の今年の誘致目標に前年比約3割増の100万人を掲げて、プロモーションを強化している。

 今年の日本とASEANの友好協力40周年を踏まえた事業で、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンから招請した。最多のタイが29社で、以下はベトナムが20社、インドネシアが18社など。

 日本側の出展者は、全国の地方自治体や観光協会、旅館・ホテル、観光施設、旅行会社、運輸事業者など約200社。時間ごとに設定された個別商談と、6カ国の旅行会社が出展者ブースを巡る自由商談が併せて行われた。

 尖閣諸島の問題を巡り、中国からの訪日旅行者が減少する中、国内の自治体、観光事業者の東南アジアに対する注目度は急上昇している。商談会に出展した山梨県富士河口湖町もその一つ。同町の山岸旅館、外川凱昭社長は「タイやインドネシアの観光客が増えている。すでにムスリム(イスラム教徒)の旅行者も多い。政府がビザ(査証)の要件緩和を実施すれば、さらに増加するだろう。受け入れ態勢を整備しようと、地域も動き出している」と話していた。

 商談会に招請した6カ国の訪日旅行者数は合計で2011年が約50万人、12年が約78万人(タイが26万人、シンガポールが14万人、マレーシアが13万人、インドネシアが10万人、フィリピンが9万人、ベトナムが6万人)。各国ともに富裕層や中間層の拡大、LCC(格安航空会社)の就航などで海外旅行需要が増加している。

 観光庁は、今年の100万人誘致に向けて、「東南アジア・訪日100万人プラン」のもとでプロモーションを強化している。東南アジアの旅行者にとって魅力とされる日本の四季や自然、料理、温泉、テーマパークなどをPR。広告宣伝や旅行博出展、旅行会社やメディアの招請などの事業を展開している。

 また、海外のプロモーション拠点も増やす。東南アジアに設置されている日本政府観光局(JNTO)の海外事務所は、バンコクとシンガポールの2カ所だが、今年の夏をめどにジャカルタ(インドネシア)に開設。韓国など市場開拓で先行している競合国を踏まえ、誘致態勢を強化する。

 

出典:http://www.kankokeizai.com/backnumber/13/05_25/inbound.html#01