【訪日外国人客】リピーターを増やしたい

7月に日本を訪れた外国人旅行者は100万3千人で、月間として初めて100万人を超えた。
 円安の進行や格安航空会社(LCC)の普及に加え、東南アジア諸国の旅行者に対する査証(ビザ)の発給要件が緩和されたことが追い風になったとみられる。


 1~7月の累計は約600万人で、政府が掲げる年間1千万人の目標達成が視野に入ってきた。さらなる旅行者誘致には官民の協力が不可欠だ。
 国・地域別では、韓国が24万4千人で最も多く、次いで台湾の23万8500人となっている。


 7月から観光客のビザが免除されたタイは3万200人と前年同月より8割以上増えた。マレーシアやインドネシアも増加したが、7月はイスラム教徒のラマダン(断食月)に当たり、比較的伸びが小さかった。
 一方、沖縄県の尖閣諸島問題で関係が悪化している中国からの旅行者は約3割減った。


 日本滞在中の消費額は中国人が最も多く、各地で中国の旅行者をターゲットにした観光戦略を立てていた。それだけに観光・小売り業界は深刻な打撃を受けている。
 だからこそ、幅広い国や地域から旅行者をどんどん呼び込みたい。アニメや音楽、食などを通して日本に関心を持つ外国人は多い。彼らのような日本ファンが繰り返し来たくなるような環境づくりを進め、リピーターを育てていきたい。
 そのためにはまず、受け入れ態勢の整備を急がなければならない。
 一つは言葉の問題だ。外国語で対応できるスタッフを抱える宿泊施設や観光施設は一部に限られている。道路標識などで地名に関する英語表記がばらばらといった問題もある。
 宗教上の配慮も必要だ。訪日客が増えているマレーシアやインドネシアにはイスラム教徒が多く、食事や礼拝施設などへの対応も欠かせない。


 地方は、地元の観光資源の掘り起こしに力を入れたい。その際、外国人の視点も活用したらどうだろう。
 有名観光地を訪れるだけでなく、地方の自然や文化との触れ合いなど外国人の旅の目的はさまざまだ。日本に移り住んだ外国人が始めたアウトドアスポーツが人気を集め、観光客が増えた事例もある。当たり前と思っている暮らしや環境も十分魅力になるはずだ。

 

出典:高知新聞

http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=307107&nwIW=1&nwVt=knd