選ばれる地域に 関西地域振興財団・インバウンドセミナー インドネシア市場の動向は

関西地域振興財団はこのほど、大阪市内で「インバウンド市場セミナー」を開いた。訪日市場の現場に詳しい2氏が講演し、訪日客誘致や受入体制整備の参考にしようと多くの観光関係者が参加した。

 

第1部は日本政府観光局(JNTO)海外マーケティング部部長の小堀守さんが、伸張著しい東南アジア市場、なかでもインドネシア市場の動向と今後の対応について講演。JNTOは3月にジャカルタに海外事務所の開設を予定するなどインドネシアを重点市場として底上げを図っている。

 

小堀さんは訪日客拡大の前提として受入体制の整備を課題として挙げた。「WiFi環境やスマートフォン対応の情報発信が重要」と話したほか、旅行手配面でも現在北海道や東京で飽和状態になっていることから「季節や地域分散を目指すほか早期予約を呼びかけるべき」と指摘した。

 

東南アジア市場については、小堀さんは市場の地域特性と変化を捉えた対応が必要と話す。インドネシア市場の特徴は親日国かつ旅行時期が分散していることから取り込みやすく、旅行先はテーマパークが人気で、石川県や愛知県、長野県が第2のゴールデンルートになりつつあるという。

その上で小堀さんはプロモーションの手法として「空港発着に余裕がなく、シンガポール経由の提案もいい」「相互送客に取り組む姿勢を持つべき」などと提言しながら「今は夜明け。これから太陽が昇る時期」と今後のインドネシア市場の発展を見通した。

 

 

第2部はスイス・ツェルマット観光局で日本語インフォメーションセンター「JTIC・SWISS」代表を務め、観光カリスマの山田桂一郎さんが、自身の経験とインバウンド先進国スイスの例から日本の各地域が取り組むべき観光の方法論を語ったライフスタイルで「異日常」体験 国際競争力、観光競争力、技術革新力のいずれもが世界1位のスイスへは外国人客の90%がクチコミで訪れ、圧倒的にリピーターが多い。日本が目指すスタイルをすでに手に入れている秘けつを山田さんは「行かねばならない必然性があります。この戦略がスイスはうまい」。日本側がこういう考えを持って戦略を考えるべきと提言する。

例えば顧客管理。ツェルマットではスキーパスを販売し顧客情報を取得、何度も来るとランクが上がるシステムを導入している。対して日本は何回来ても一見さん。リピーターを生み出す仕組みが乏しい。

 

また、スイス観光局が打ち出す魅力は「ライフスタイル」。スイスが持つ生活文化の豊かさに触れ「異日常」を体験してもらう。それが「住みたい」気持ちを生み、飽きられず何度も来るようになる。ライフスタイルへの憧れという強力な武器を有しているのだ。

 

山田さんは「『なにもない』『当たり前』と地元の人はよく言うが旅行者はそう思っていません。おれたちの住むまちが一番だ、と思っていないとだめ」と説く。 さらに「今は『心の豊かさ』を実感できる観光の時代。おもてなしの心と商品の高質さで豊かさを提供し、元気に帰ってもらいましょう」と呼びかけ、ブランディングやスイスにおける品質強化システムを紹介した。

 

出典:トラベルニュース

http://www.travelnews.co.jp/news/inbaund/1402140948.html