現代テレビ考2015「東南アジア」編 WAKUWAKU JAPAN開局1周年 東南アジアでの日本コンテンツ 受容実態調査

スカパーJSAT株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長:高田真治、以下スカパーJSAT)は、東南アジアの3ヶ国(インドネシア・タイ・シンガポール)を対象に、それぞれの国で日本の文化や日本のテレビ番組がどのように受容されているかを探る調査「現代テレビ考2015『東南アジア』編」を実施しました。


調査結果についてはニュースリリースをご覧下さい。

リンク


スカパーJSATでは、海外向け日本コンテンツ専門チャンネルWAKUWAKU JAPANをインドネシアとミャンマーで運営しており、2015年2月22日に開局1周年を迎えました。WAKUWAKU JAPANに限らず、ここ数年で東南アジア向けのコンテンツ輸出が盛んになっています。その経済成長と市場規模の拡大により、日本のコンテンツ輸出にとって、東南アジアという市場は今後ますます存在感と重要性を増していくと考えられます。


そこで、今回の現代テレビ考はWAKUWAKU JAPANが放送されているインドネシアの他、コンテンツの重要な輸出先であるタイ、シンガポールの東南アジア3ヶ国で、日本の文化に魅力を感じている男女15~29歳(各国200名、合計600名)を対象に、それぞれの国において日本文化および日本のテレビ番組はどのように受け入れられているのか、日本のテレビ番組のどのようなところが魅力として受け止められているのかを調査しました。


調査結果には、株式会社三菱総合研究所 情報通信政策研究本部ICT利活用戦略グループ安江憲介主席研究員の協力のもと、各国の文化や市場特性などの観点から分析を加えています。また、WAKUWAKU JAPANについても「インドネシア現地の状況に応じて、プラットフォームとして様々な日本の番組をローカライズして展開しているWAKUWAKU JAPANの取り組みは、日本のコンテンツ輸出にとって非常に意義深いと感じます。今後も、今回の調査結果から分かる『日本コンテンツへの大きな期待』に応えていってほしいと思います。」とのコメントを頂きました。


■WAKUWAKU JAPANについて

WAKUWAKU JAPANは、スカパーJSATが展開している、選りすぐりの日本コンテンツを24時間、現地の言葉でお届けする現地の方向けのチャンネルです。2014年2月22日に開局し、現在、インドネシア、ミャンマーにて放送しています。WAKUWAKU JAPANでは、日本のドラマやアニメ・特撮をはじめ、海外の人に「自然」「旅」「食」「文化」「職人技」といった日本の魅力を伝える『SHIKI-ORIORI(四季折々)』などを放送しています。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「日本の魅力」は3ヶ国とも「日本のアニメ・マンガ」「日本食」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


まず、全回答者に日本の魅力について質問したところ、3ヶ国平均では「日本のアニメ・マンガ」が79.7%で最も高いという結果になりました(インドネシア:88.5%、タイ:80.0%、シンガポール:70.5%)。アニメ・マンガの次には、「日本食」(平均:66.8%)、「日本の自然・季節」(平均:55.0%)、「日本の都市」(平均:52.5%)、「日本のテレビ番組」(平均:50.3%)が続きました。


日本政府はクールジャパン政策として、日本のコンテンツ・食・観光サービスなどを国内外に情報発信し、需要開拓を行っていますが、インドネシア・タイ・シンガポールでも、こういったクールジャパンを体現するアニメ・マンガやテレビ番組といったコンテンツ、日本食や自然・都市といった「衣・食・住」の魅力が高いということが分かりました。


国別に結果を見ると、インドネシアでは88.5%と9割近くの回答者が「日本のアニメ・マンガ」を日本の魅力と受け止めていることが分かります。3ヶ国の中でインドネシアは「テレビゲーム・携帯ゲーム」(42.5%)、「日本の音楽(J-POP)」(41.0%)を選ぶ人の割合が最も多く、今回の調査からは「日本のポップカルチャーを最も魅力と感じているのはインドネシア」と言えそうです。


タイでは「和服・着物・浴衣」(50.0%)、「日本の若者ファッション」(40.0%)、「コスプレ」(42.0%)を選ぶ人が多く、日本のファッションを魅力と考えている人が多いようです。


シンガポールでは他に比べて「日本の都市」(54.0%)、「温泉」(47.0%)、「寺社・仏閣」(28.5%)を選ぶ人が多くいました。日本の観光地としての要素が魅力として受け止められているようです。


この結果に対して、安江憲介主席研究員は「東南アジアにおいても、クールジャパンの象徴であるアニメ・マンガ、日本食が、日本独自の魅力としてしっかり伝わっているということが改めて分かります。」とコメントしています。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

日本のテレビ番組の魅力は「日本について学べる」「おもしろい・笑える」

「映像がきれい」「出演者がきれい・かっこいい」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


多くの人が「日本の魅力」として受け止めているテレビ番組ですが、次にどのようなところが魅力とされているのかを聞きました。


3ヶ国平均では、「日本の文化や生活、または日本語が勉強できるところ」(平均:50.0%)、「おもしろい(笑える)ところ」(平均:48.5%)、「映像がきれいなところ」(平均:45.2%)、「出演しているタレントがきれい・かっこいいところ」(平均:45.2%)を選ぶ人が多いという結果になりました。今回の調査が日本に関心を持つ人を対象にしているということもあり、テレビ番組は日本について知り、学ぶ手段として受容されていることが伺えます。日本のテレビ番組を「おもしろい・笑える」と考えている人も多く、日本人にとっての笑いのツボは東南アジアの人々にも通じているようです。


「映像がきれい」を魅力として選んだ人は、特にインドネシアに多くいました(インドネシア:63.0%)。一方、英語を公用語とし、世界有数の商業都市であるシンガポールでは23.0%という結果でした。その国ごとのテレビ視聴環境との関連で、日本のテレビ番組への評価も変わってくるということが示唆されます。


「出演しているタレントがきれい・かっこいいところ」を魅力に挙げる人が最も多かったのもインドネシアでした。この3ヶ国の中では、日本人と容姿の好みが近いのはインドネシアの方々なのかもしれません。


この結果に対して、安江憲介主席研究員は「『映像がきれいなところ』が魅力とされている背景には、3ヶ国とも地上デジタルテレビ放送に完全移行していないということもあるかもしれません。撮影技術の高さや、番組制作における仕事の丁寧さという部分も、日本のコンテンツの大きな魅力だと捉えられているようです。」とコメントしています。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

日本のドラマやアニメ、87.8%が「これからも見たい」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


日本のドラマやアニメへの視聴意向を聞いたところ、全体で87.8%の回答者が「今後も日本のドラマやアニメを視聴したい」と考えていることが分かりました(「ぜひ視聴したい」:66.8%と「やや視聴したい」:21.0%の合計)。「ぜひ視聴したい」という強い意向を示している人も70%弱で、日本のドラマ・アニメへのニーズは非常に高いということが分かります。。特に、WAKUWAKU JAPAN放送中のインドネシアの視聴意向は93.0%、未放送のタイはそれを超える95.5%という日本コンテンツへの期待感、渇望感の反映ともとれる結果です。


この結果に対して、安江憲介主席研究員は「今回の調査から、『日本好き』というコアな層が一定の規模で存在するということが分かります。インドネシア・タイでより強い視聴意向を示されていますが、両国では地上デジタル放送への移行に伴うチャンネル増加などで、コンテンツへのニーズが高まっています。『日本好き』というコア層を大事にして、日本の番組コンテンツへの人気を維持しつつ、現地の文化や市場の状況に合わせて需要の拡大を図ることが重要でしょう。」とコメントしています。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

日本のテレビ番組を通して知る「自国と日本の文化の違い」

「リアリティがある」「独創的」「おもしろい」と好評価多数

“Anime is Really Good!”と、日本アニメへの愛を表現する人も

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


日本とそれぞれ自国のテレビ番組を比較したときにどのような点が異なるかを自由記述で質問したところ、「自国との文化の違い」を挙げる人が多くいました。日本のテレビ番組の魅力に「日本の文化や生活、または日本語が勉強できるところ」を挙げた人も多くいましたが、テレビ番組を通して「自国と異なる日本の文化」を楽しんでいる人も多いということが伺えます。


また、日本のテレビ番組の方が「リアリティがある」「おもしろい・ユーモアがある」「独創的である」「ストーリー展開が優れている」と、評価する人も多くいることが分かりました。「日本の魅力」についての結果からは、日本の魅力としてアニメ・マンガが特に評価されているということが分かりましたが、ここでも「アニメ作品が優れている」と回答する人が多くいます。中には、「Anime is Really Good!」と、アニメへの愛を表現するシンガポールの女性もいました。


WAKUWAKU JAPANでも放映されていたことのある「TRICK」「ドクターX ~外科医・大門未知子~」「半沢直樹」などのドラマ番組を見たことがあると答えたインドネシアの男性は、


「インドネシアの番組では、昔放送されたドラマに対し、別の役者をキャスティングして放映することがよくある。しかし、日本のテレビ番組はいつも新鮮な内容や、新しいストーリーを放映している」


と自国との違いに触れ、日本のテレビ番組を高く評価していました。


Qあなたがこれまでにご覧になった「日本のテレビ番組」の内容で、自分の国の番組と違うなと思ったことはどのような内容ですか?(自由記述)


《インドネシア》

●日本の文化を知ることができる

・日本の旅行や料理番組は非常に素晴らしく、流れてくる言葉がとてもやさしく丁寧に聞こえる。番組名を忘れたが、日本の外国人向け旅行番組で、外国人観光客が日本文化を知るための観光番組もある(インドネシア女性)

・企業を題材としたドラマなどから、インドネシアにはない価値観や文化を見ることができる(インドネシア女性)


●日本のアニメはすばらしい

・アニメのコンテンツが非常におもしろい(インドネシア男性)

・家族で楽しめるものや、SF、医療アニメ等それぞれ多岐に渡る内容で非常に面白い。インドネシアでは、全ての年齢の人に適した番組はなかなかない(インドネシア女性)


●ストーリーが優れている

・ドラマ番組は、ストーリーが素晴らしく、映画の役者は、役をうまく演じている(インドネシア男性)

・映像アレンジ、ストーリー構成、声優の役作りが上手い。日本のアニメとインドネシアのアニメは違うが、自国のアニメも、日本のアニメのように高度な映画技術を駆使して素晴らしくなることを期待している(インドネシア男性)


●オリジナリティがある/独創的である

・インドネシアのテレビ番組はリメイクが多いが、日本のテレビ番組はインドネシアのものよりオリジナリティがあって魅力的(インドネシア女性)

・日常生活の中からテーマを見出すなど、コンセプトが本当に独創的で、オリジナリティがある(インドネシア男性)


《安江憲介主席研究委員によるインドネシアについての分析》

「WAKUWAKU JAPANが展開中のインドネシアですが、調査からは日本のテレビ番組への期待が大きいということが分かりました。欧米に比べれば、インドネシアを含めて東南アジアの市場規模はまだ大きくはありませんが、この期待と、増加傾向にある人口や経済成長率など高い市場ポテンシャルをどのように今後のビジネスに繋げていくかがカギになると思います。」


《タイ》

●リアリティがある

・日本の番組は、よりリアリティがあり、面白く、続けて視聴したいと思う。タイの番組よりも質が高く、多くの人が興味深く思える内容になっている。司会者もゲストも美人で、作品内容も面白い。お金をかけてきちんと作られたものだということが感じられ、番組の出演者はそれぞれ自信を持っているように感じられる(タイ男性)

・日本の番組は、よりリアリティがあり、俳優の登場人物の役へのなりきり方がうまい。ストーリーは感動的で、タイのように男性を奪い合うというありきたりのものではなく、多様性がある(タイ女性)


●家族で見ることができる

・家族で見られて、新しい知識を増やしてくれるところがタイと異なっている(タイ女性)

・子どもも大人も見られて、楽しみながら社会の規範をおぼえられるので、ためになって面白い。日本のテレビ番組には内容があるのでとても好きだ(タイ女性)


●見続けたくなるおもしろさ

・日本のテレビ番組をいつも見ている。面白くてためになり、ずっと見続けていられる(タイ男性)

・ストーリー展開が早いので、一度見ると次をまた見たくなるくらい面白い(タイ女性)


《安江憲介主席研究委員によるタイについての分析》

「日本のドラマ・アニメへの視聴意向が高かったタイですが、自由記述の回答からも日本のテレビ番組への評価の高さが伺えます。タイの事業者でも海外コンテンツをどのように調達するかというのが課題の一つになっており、まだまだ開拓の余地があると言えます。また、タイからの訪日観光客も増えていますが、経済成長に伴って中間層が増えており、関連商品や観光、日本食などへの波及効果にも期待したいところです。」


《シンガポール》

●プロットが優れている

・ドラマは1話観るだけでキャラクターに心を動かされる(シンガポール男性)

・ドラマは刑事ものや恋愛ものなど、いずれもプロットがシンガポールの番組よりも面白くて、ミステリアスで先進的である。(シンガポール男性)


●自国に比べて、法律の規制が少ない

・シンガポール番組はより多くの法律で規制されている(シンガポール男性)

・日本のテレビでは、リアリティを出すために番組内で煙草を吸うことが許されるなど、規制が少ない(シンガポール男性)


●日本の自然・風景・文化

・日本の自然の風景や国の文化に焦点を当てている(シンガポール男性)

・文化(礼儀正しさや挨拶)、風景、雰囲気、演技(シンガポール女性)

・日本文化(他人に対して礼儀正しい)(シンガポール女性)


《安江憲介主席研究委員によるシンガポールについての分析》

「シンガポールでは、番組の中での喫煙シーンの放送が禁じられているなど、放送内容の規制を日本のテレビ番組との違いとして挙げる人もいるようです。また、都会的なシンガポールとの対比なのか、日本の自然への関心も思ったよりも高いと感じました。多忙のため時間がないという回答なども考えると、日本のテレビ番組の視聴者を新たに獲得するのは簡単ではないと思いますが、欧米にはない日本の良さを番組として提供し、さらにその出口としての食や観光といった波及効果が追及できるとおもしろいと思います。」


「現代テレビ考」はこれまでにもテレビの見られ方、テレビとの関わり方について様々な調査を行っています。過去の調査結果については弊社ホームページからご覧いただけます。

スカパーJSAT株式会社は、新しいテレビ文化を創造するリーディングカンパニーとして、今後もテレビについての調査を実施していく予定です。是非ご期待ください。


出展:CNET japan

http://japan.cnet.com/release/30094343/