地方空港の国際化 新たな観光ルート開発に期待

訪日外国人が速いペースで増加し、2000万人の実現も視野に入る中、地方空港の役割に注目が集まっている。

菅官房長官は先ごろ、記者会見で「観光客を(地方に)誘導する政策は大事」として、地方空港の使用料引き下げを含む支援策を検討していることを表明した。

現在、成田、関西、東京(羽田)の各国際空港で訪日外国人の約7割を受け入れているが、成田、羽田は近い将来、満杯状態が予想され、地方空港への訪日外国人誘致に期待がかかる。

国土交通省によると、地方空港の定期国際旅客便は、夏ダイヤ(3月末~10月末)の1週間当たりの便数で、今年は692便と、2010年の436便から約6割増加した。中国、香港、台湾などのアジア便が大きく伸びたためだが、その背景には、地方自治体が海外格安航空会社(LCC)の路線誘致に取り組むことで、利用が広がったことが挙げられる。国内で大きな成長が望めない状況で、多くの地方空港は国際化に活路を求めてきたのである。

こうした地方空港の国際化を地域経済の振興や活性化に、より一層結びつけていくには、いくつかの課題がある。

現在、多くの外国人観光客は、富士山などを含む東京、名古屋、京都、大阪という「ゴールデンルート」に集中している。地方空港を拠点に、新たな観光ルートを開発し、各地域の魅力を発信していくことが、観光立国を実現するには不可欠である。自治体間の協力や連携が期待されるところだ。

また、移動手段の確保は重要だ。成田などの国際拠点空港との乗り継ぎの利便性を高め、航空ネットワークを充実させなければならない。同時に、空港から市街地、観光地への交通網を整備していくことも求められている。バス路線や鉄道路線、高速道路などとの連絡が円滑であれば、地方空港の魅力は増大するはずだ。

さらに、出入国する観光客がカウンター前で長蛇の列では困る。CIQ(税関、出入国管理、検疫)体制の充実は急務である。

地方空港の国際化に対応し、官民を挙げた積極的な取り組みが求められている。


出典:公明新聞

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