日本の高速道路に路線番号が導入される見通しです。この路線番号、実は世界的には広く採用されており、それがない日本はかなりのレアケース。とはいえ日本でも、都市高速には路線番号がすでに存在するなど、単純に割り振れば良いというわけでもありません。高速の路線番号、どのようなものが考えられるのでしょうか。
日本と北朝鮮だけ?
2016年3月8日(火)の日本経済新聞に、「高速道に路線番号 訪日客にもわかりやすく」という記事が掲載されました。
それによると、「国土交通省は、全国の高速道路に路線番号を割り振る方針を固めた。増え続ける訪日外国人がレンタカーを運転する際などに利用路線の間違いを防ぐ効果も期待されるとされ、今夏をめどに番号を決めて、標識などに反映していく」とのこと。
高速道路に路線番号がない国は、私(清水草一:首都高研究家)の知る限り日本と北朝鮮だけで、ほかのあらゆる国で採用されています。日本でも国道や都道府県道には路線番号があり、首都高速や阪神高速、名古屋高速などの都市高速もそれぞれの路線番号を持っているのに、いったいなぜ都市間高速道路(NEXCOや本四連絡橋会社の管理する高速道路)にだけ路線番号がなかったのか不可解でした。
このことについて私は、16年前に出版した自著『首都高はなぜ渋滞するのか!?』でも指摘しました。しかし日本人ドライバーは、「東名」「名神」といった路線名のみの表記を当然のこととして受け入れており、海外の道路事情をドライバーとして経験する日本人がごく少数に留まっていることもあって、路線番号割り振りの機運はまったく高まっていませんでした。
それが、訪日外国人への「おもてなし」の一環(?)として、ようやく実現するかもしれないわけですが、それにしても遅かったというのが実感です。
道路に関する「緑」と「青」が欧米と逆の日本
具体的な番号の割り振りは今後、有識者会議で検討されると報道されていますが、諸外国ではどのように路線番号を割り振っているのでしょうか。
アメリカでは、最上位に来るハイウェイは「インターステート」と呼ばれますが、路線番号は文字通り番号だけ。道路案内標識に表記する際は「INTERSTATE」と書かれた赤い王冠付きの青い盾型枠内へ番号を入れる形にすることで、下位道路と差別化しています。
ヨーロッパも道路案内標識へ表記する際は、枠の形や色で道路種別を表現する形です。枠の色はアメリカ同様、高速道路はブルー、一般道はグリーンです。
日本はこの逆で、高速道路がグリーン、一般道がブルーなわけですが、それをすべて欧米に合わせて逆転させるのは予算がかかりすぎて難しく、そこまでする必要性も低いでしょう。
ただ日本で高速道路へ番号を割り振るにあたっては、首都高など都市高速には従来から路線番号が存在するため、そちらとの差別化を図る必要があります。
手法としては、既に浸透している都市高速の路線番号をそのまま活かすため、アメリカのように都市間高速へ特別な「枠」を与えるか、あるいは番号の先頭にアルファベットを1文字与えるなどが考えられます。
またフランスやイタリアでは、国内の路線番号「A○○(数字)」と、EU内の通し番号「E○○」を並べて表記することが多いですが、日本は国内で完結しているため、1種類で充分です。たとえば「EXPRESSWAY(高速道路)」の頭文字である「E」を先頭に付ければ、国際的にも理解しやすいのではないでしょうか。
インターチェンジの「迷う案内標識」問題
こういった表記のルールさえ決まれば、あとは並行する国道の路線番号に合わせる必要は特にありませんし、法律上の区別でしかない「高速自動車国道」(東名や名神など)と一般国道の「自動車専用道路」(圏央道など)を分ける必要もないと考えます。
例えばですが、具体的には次のような案が考えられます。
E1:東名高速
E2:名神高速
E3:中国道
E4:九州道
E5:東北道
E6:道央道
E7:中央道
E8:関越道
E9:常磐道
E10:東関東道
E101:新東名
E102:伊勢湾岸道
E103:新名神
E104:山陽道
まず基本的に2ケタまでの番号を割り振って行き、並行路線は3ケタ番号にする形です。
さて訪日客のことを考えた場合、もうひとつ要望したいのが、インターチェンジの分岐点にある行き先の表示に、おおまかな方角(東西南北の日英表記)を入れることです。こちらも欧米ではスタンダートで、これによって外国人ドライバーでも、反対方向に行ってしまうことをかなり防げます。
外国人にとって、例えばインターの分岐点に「静岡方面」と「名古屋方面」と案内あった場合、どっちが東でどっちが西なのか、一瞬で理解するのは極めて困難です。日本人ですら「どっちに行けばいいんだっけ?」と迷うことがしばしばなのですから。
これについて私はかつて、日本道路公団(当時)に要望したことがありますが、担当者は欧米では方角表示が当たり前であることをまったく知らず、要望の意味自体を理解してもらえませんでした。
出典:のりものニュース
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