アニメ聖地88カ所で地域活性化 目標は東京五輪で外国人観光客400万人

大ヒット中のアニメ映画「君の名は。」。スタジオジブリ以外が製作したアニメで初となる興行収入100億円を突破し、新海誠監督が手がけた同名小説も発行部数100万部を突破するなど勢いが止まらない。

 

 そんな中、注目を集めているのが、作中に登場した場所を実際に訪れる“聖地巡礼”だ。物語の舞台となった場所や、作品を象徴する風景のモデルとなった場所などを実際に訪れて写真を撮ったりする。「君の名は。」の場合、東京・四谷の須賀神社や、岐阜県飛騨市が聖地とされている。

 

 ワイドショーなどでも、この話題になると必ず登場する「らき☆すた」の聖地、埼玉・鷲宮神社などを取り上げて聖地巡礼を紹介している。そんな中、先月16日に「一般社団法人アニメツーリズム協会」が発足した。アニメ聖地88カ所を選定し、自治体と協力してアニメ観光を促進していく。

 

 これまで、ファンの間で自然と発掘され、ネット上などで共有されてきたアニメ聖地を公式に選定する初の組織。広報担当者は「88カ所選ぶからには、広域観光ルートを作成し、聖地を全て訪れたことがステータスになるようにしたい」と話す。

 

 88カ所の聖地は協会ホームページで投票を受け付け、決定する。投票は年内いっぱいまで受け付け、来年に88カ所を発表する予定。聖地に選ばれた場所では「その作品にまつわるサービスやグッズ販売などを行いたい。そのために、自治体の理解と協力を仰ぐのが私たちの役目」と話した。

 

 協会の発足に先立ち、アニメ誌「月刊ニュータイプ」で7~8月にアンケートを実施。9月発売号で上位10作品を発表した。「ラブライブ」「ガールズ&パンツァー」「デュラララ!!」などが選ばれている。

 

 協会が発足した理由は、現地ではそこが聖地と呼ばれていることに気付いていない人が多く、「ファンが訪れているのに、自治体がその人たちを観光需要として捉えていないことがもったいないから」という。アニメ作品を手がけるKADOKAWAの呼び掛けに、JTBやJALなどが応じる形で設立された。

 

 また、外国人観光客もターゲットの一つ。「日本のファンは勝手に聖地を見つけるけれど、外国人は秋葉原くらいしか知らない。ここが聖地だと私たちが示すことで、クールジャパンの海外人気を観光や地域活性化に生かしたい」。東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に国が目標としている訪日外国人は4000万人。「その内、1割の400万人をアニメ観光で達成するのが目標」という。

 

 ガールズ&パンツァーの舞台、茨城県大洗町のように、すでにアニメとの共存で成功している自治体も存在する。88カ所の聖地が発表されて、「○○(作品名)の町」と呼ばれるような場所が増え、そこを大勢のアニメファンが訪れる光景が、今から楽しみだ。

 

出典:スポニチ Sponichi Annex

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/10/10/kiji/K20161010013508150.html