廃止されて残念!復活してほしい列車10選

~今なら需要あるかも…厳しいが夢は持ちたい~

 

かつては便利だったのに、直通列車が廃止となったため、乗り換えを余儀なくされて不便になったルートがいくつかある。乗客数が減って採算が合わなくなった列車、新幹線優先のため、そのしわ寄せがきて逆に不便になった経路などさまざまである。

 

そこで、鉄道会社の都合や技術的な諸問題は承知のうえ、利用者、旅行者の立場から復活してほしい列車を妄想してみた。

 

現実は厳しいけれど、夢は持っていたいと思う。

 

 

 

名古屋から奈良へ直通

1)急行「かすが」

 

JR奈良駅は、全国都道府県の中でJRの定期優等列車が停車しない稀有な県庁所在地の代表駅である。しかし、2006年3月までは、名古屋から直通する急行「かすが」が走っていた。2時間少々での運転は、単線区間が多く、亀山―加茂間が非電化というハンディを考えると大健闘といってよかった。

 

何と言っても、名古屋から乗り換えなしで奈良に行けるのはメリットであるし、非電化区間の車窓も見応えがあった。名古屋―奈良を最短距離で結ぶ路線だけに、近代化をすれば需要が増大するのではと思う。

 

しかし、現実には、京都乗り換えで手間はかかるけれど、東海道新幹線+JR奈良線の「みやこ路快速」あるいは近鉄特急が便利だ。

 

このルートは「のぞみ」など新幹線料金の高さがネックで、安くあげようとするなら、名古屋から近鉄特急を選ぶことも考えられる。快適ではあるけれど、大和八木と大和西大寺の2回乗り換えで、2時間半程度、料金は新幹線の指定席利用に比べると2000円以上安くなる。

 

関西本線経由の名古屋―奈良間の運賃は、2270円なので、急行での復活なら急行券980円プラスで3250円、新幹線経由の半額である。さすがに、急行での復活はないだろうから、特急ならA特急料金(指定席)の2350円をプラスして4620円。近鉄特急の乗り継ぎより若干高くなる。

 

近年、訪日観光客の増加で鉄道利用者も多くなっているが、ジャパン・レール・パスでは「のぞみ」は乗れない。シニア向けのジパング割引もしかりである。「ひかり」に殺到する乗客を分散する意味でも、優等列車「かすが」の復活を望みたい。

 

廃止直前の利用状況とは情勢が変わってきたのではないだろうか?

 

JR東海とJR西日本にまたがることやディーゼルカーをどうするかなど、クリアしなければならない課題はあるけれど、前向きに検討してもらいたいものである。

 

 

2) 特急「東海」

東京や品川を起点に考えると、静岡県内へ向かう場合、三島や、新富士、静岡、掛川、浜松まで東海道新幹線「ひかり」「こだま」を利用し、その他の駅へは在来線に乗り継ぐかクルマでの送迎を頼むのが一般的であろう。

 

しかし、大船、平塚など横浜以西の駅から静岡県内の沼津、吉原、清水へ行く場合はどうだろうか? 新横浜は遠いので、在来線で小田原まで行き、新幹線に乗り換えて、三島で再び在来線に乗り換えなくてはならない。

 

新富士が在来線とつながっていないので周辺に用があるならともかく、乗り継ぎには使えない。在来線に乗り換えるなら、三島を利用するしかないのである。

 

だとしたら、在来線に速達列車があればと思う。特急「東海」の復活を考えてもいいとは思うが、現実的に難しそうなら東京から直通の快速列車運行はどうだろうか?

 

それも無理なら、熱海発着の静岡方面へ向かう快速列車を1時間に1本程度運行するとか、ビジネスマンがゆったり利用できるような指定席車両や、グリーン車を連結するなど魅力的な列車を運行してもらいたいものである。

 

 

 

せめて1往復でも直通を

3)特急「ひたち」仙台行き

 常磐線特急は、上野東京ライン開業により、東京を経由して品川発着となり利便性が向上した。そのうち「ひたち」は、いわきまで少なくても1時間に1本は運転されている。

 

現在、いわきより先の区間は、富岡―浪江間が震災と原発事故の影響で不通になったままである。少しずつ復旧作業が進んでいて、2020年3月には、全線で運転再開予定である。

 

その際、いわき―仙台間では特急列車が復活することになっている。震災前には、いわきで運転系統を分断するつもりだったが、いわき以北は寸断されてしまったので、特急列車の運転どころではなくなった。

 

2020年の全線復旧後の特急については何も発表されていないけれど、被災地域の復興促進を考えると、せめて1往復は品川から仙台までの直通運転を考えてもいいのではないかと思う。「スーパーひたち」の時代には、4両のみいわき以北に直通する運用があった。

 

利用者が少なくなるための対策であるので、分断はいたしかたない面もあるけれど、風評被害を含めて訪問者が減っている現状を考えると、利便性の向上は欠かせないのではと思う。

 

 

4)特急「さざなみ」平日昼間の館山行き

内房線特急「さざなみ」は、利用者の減少により、臨時列車を除いて、君津―館山間の定期列車が全廃となってしまった。現状では、鉄道利用で都心から館山に向かうには、君津まで快速を利用し、その先は普通列車に延々1時間近く揺られなければならない。

 

これでは、鉄道離れがますます進む一方で、将来的には内房線の存続自体が怪しくなる危険性もあろう。少しでも魅力的な路線とすべく、1日1、2本は優等列車を復活させてもらいたいものだ。せめてグリーン車や指定席車付きの快速列車くらいは走らせてほしいと願わずにはいられない。

 

 

5)急行「こまがね」

かつて新宿発の急行「アルプス」に併結され、辰野から飯田線に乗り入れて飯田まで運転されていた急行「こまがね」。1986年に廃止され、新宿から飯田へ乗り換えなしで行くには高速バスしかない状況が続いている。

 

高速バスは、新宿―飯田駅前を4時間15分ほどで結んでいる。現状では、岡谷まで「あずさ」を利用し、飯田線の各駅停車に乗り換えて最速で4時間40分程。時間の面でも快適さでも列車に勝ち目はない。

 

しかし、かつての「こまがね」は、普通列車よりも20分以上早く辰野―飯田間を結んでいた。飯田線の線形はよくないけれど、停車駅を少し整理し、現在の車両なら、さらに15分程のスピードアップは可能であるとの調査がある。計算上は、新宿―飯田間を高速バスよりも速く4時間を切ることも無理ではないそうだ。

 

JR東日本とJR東海の2社にまたがり、調整は難航しそうであるし、そもそもやる気がなさそうだが、例えば新型車両「E353系」の付属編成を利用して、飯田線への直通列車を復活してほしいとの夢を描きたい。

 

それよりも、リニア中央新幹線が開業すれば品川―飯田は約40分とのことだ。こうなれば、高速バスは競争相手ではなくなる。これが一番実現可能な話かもしれない。

 

 

6)直通列車「みつみね」(上野発、三峰口行き)

都心から秩父鉄道沿線への直通列車といえば、現状では、西武の池袋から土休日運転の快速急行長瀞行き、三峰口行き併結電車であろうか。過去には、東武東上線からの直通列車やJR高崎線からの直通列車「みつみね」などの愛称を持った電車が115系などを使って上野発で運転されていた。

 

需要がなくなったわけではないと思う。行楽シーズン限定の臨時列車で構わないので、ぜひ復活してほしいものである。

 

 

やっぱり寝台特急がいい

復活してほしい、といえば寝台列車がいくつもある。

 

7)寝台急行「銀河」

東京―大阪間の夜行移動は高速バスの隆盛を見れば分かる通り、旺盛な需要がある。にもかかわらず、寝台列車を廃止してしまったのは、あまりにも消極的である。「サンライズ瀬戸・出雲」の上り東京行きは、三ノ宮、大阪―東京の利用者が少なからずいることを見ても分かる通り、ダイヤと車両を適正に配置すれば商売になるのだ。

 

いまさら機関車牽引のブルートレインの再来は望み薄だ。やはりサンライズ・エクスプレス相当の電車寝台での復活を強く望みたい。

 

 

8)寝台特急「あさかぜ」or「サンライズゆめ」

かつて臨時列車として走っていた「サンライズゆめ」(東京―広島、下関)は、最後に走ったのが2008年だから、運転されなくなってから10年になる。伝統の寝台特急「あさかぜ」の後継という役割もあったので、復活してほしい列車である。新山口や下関あたりなら、寝台車に乗ってみたい旅行客も少なからずいるのではないだろうか?

 

9)寝台特急「北斗星」

北海道新幹線開業と引き換えに廃止となった「北斗星」。しかし、鉄道利用で東京―札幌を昼間に行き来する人は、どのくらいいるのだろうか?

 

最速の北海道新幹線「はやぶさ」と特急「スーパー北斗」を乗り継いでも、8時間近くかかるので、よほどの鉄道好きでも急ぐ時は空路を選ぶようだ。その点、寝ている間に移動でき、食堂車など鉄道旅行の醍醐味が楽しめた寝台列車は、鉄道ファンにとどまらず愛好者がいたのだ。

 

鉄道会社の都合で廃止してしまったわけだが、何とも惜しまれる。北海道新幹線の不人気、苦戦を見るにつけ、鉄道会社の方針は正しかったのかどうか?

 

 

 

復活するなら「サンライズ紀伊」?

10)寝台特急「紀伊」

かつて、ブルートレインとして東京から紀伊勝浦まで走っていた寝台特急「紀伊」。これを復活させられないものだろうか?

 

「紀伊」は、夜の東海道線を下り、名古屋で併結していた「いなば」(のちに「出雲3号」)を切り離し、ディーゼル機関車DD51形牽引で亀山へ、再び進行方向を変え、DF50形ディーゼル機関車牽引となって紀勢本線を南下し、紀伊勝浦まで走っていた。

 

もし、復活するとすれば、客車寝台車は現実的ではないから、サンライズ・エクスプレスの予備編成を使い、京都から「はるか」「くろしお」のルートをたどって、和歌山、白浜と電化区間である紀勢本線の西半分の区間を紀伊勝浦あるいは新宮まで行くのはどうだろうか?

 

この経路であれば、東京―紀伊勝浦は814km、高松より多少長い距離となる。

 

「サンライズ瀬戸・出雲」のダイヤなら新大阪が4時半頃だから、東京発を22時半とすれば、新大阪が5時頃、和歌山6時頃、白浜7時20分頃、紀伊勝浦着9時頃となるだろう。試しに臨時列車で運転したらどうだろうか?

 

廃止となった列車は、乗客が少なかったり、コストの面で採算が合わなかったりと、それなりの理由があって消えてしまったものばかりだ。しかし、面白いルートをたどるなど鉄道旅行好きにとっては魅力的な要素が多々ある。定期運行は無理にしてもイベント列車としてもう一度走ってくれたら、と妄想してしまう。果たして夢がかなう日は来るのだろうか?

 

出典:東洋経済オンライン

https://toyokeizai.net/articles/-/247206