トラベルDX?! 5Gがつなげる観光の未来と課題

9月27日 18:18配信

トラベルDX?! 5Gがつなげる観光の未来と課題
トラベルDX?! 5Gがつなげる観光の未来と課題

昨今何かと耳にする「5G」という言葉。通信関連であることはおおよそ理解していると思いますが、4Gとどう違うのか?そしてそれを利用した際に、どのような恩恵が受けられ、どのような変化が起こるのかを観光業/旅行業の視点から考察していきます。

 

  

◇◆5Gとは

th+Generationの略で5G:ファイブジーと読む。訳すと5世代という意味です。

1980年の携帯電話の登場を1世代目として、それから現代まで5世代にわたり身の回りの通信環境が変化しているということです。

筆者は通信関係の専門家ではないので詳しい事は省きますが、今回の5Gという通信環境にて4Gでは成せなかったことが可能になってくるということです。

 

大まかにいうと、

1.4Gと比べて100倍以上の高速通信と大容量のやり取りが可能

2.信頼性が高く、遅延の少ないやり取りが可能(高信頼・低遅延通信:URLLC)

3.多数のデバイス機器に同時につなぐことが可能

ということです。

 

Gでも上記3点において問題なく通信できているように思えましたが、新型コロナウイルス禍になり早々とスタートしたテレワークやネットミーテイングでの会話をする中で、ほんの少しのタイムラグや画像の乱れが多少なりともストレスになっていたような気がします。

それが5Gによって解消されるということです。

 

 

 

◇◆観光業/旅行業ができること

現在催行されているオンラインツアーではやはり画像と音声のタイムラグや画面のフリーズ(固まる)、会話が途切れるなどの事象が起きており、その都度現実に引き戻されるような残念な感覚を味わったことがある方も少なくないと思います。

また、せっかく大人数が参加しているツアーにも関わらず、通信容量の関係で参加者の顔が見れなかったり、音声参加のみだったりすることもあります。

参加者の顔を見れることは、催行側にとってツアー自体の感触を都度確認することが出来きる重要な情報となりますので、それが出来ないとなるとツアー進行やブラッシュアップにもつながりにくくなってしまいます。

ツアー内で質問のやり取りを何度もしている間に参加者側も疲れてきてしまう、諦めてしまうなどストレスを感じさせてしまうこともあります。

 

では、前記の5Gのメリットを観光業や旅行業ではどう活きるか、現在取り組みが進んでいるオンラインツアーではどんな恩恵を受けられるか、例にあげてみたいと思います。

 

1.      4Gと比べて100倍以上の高速通信と大容量のやり取りが可能

⇒画像が荒れたり、音声が途切れたりしないことで今まで以上にリアルな観光地の様子を感じてもらえる

 

2.      信頼性が高く、遅延の少ないやり取りが可能(高信頼・低遅延通信:URLLC)

⇒現地ガイドさんの話が映像とズレることなく伝わることでスムースなツアー進行が期待できる

 

3.      多数のデバイス機器に同時につなぐことが可能

⇒多数の端末に同時に繋いでも1、2の恩恵を受けられるため、質の高いオンラインツアーを更に多数の顧客に提供することができ、収益化しやすくなる

 

もちろん、この恩恵を受けるには、5Gの環境が整っている状況において可能なものですが、5GにおけるVR観光についての多様性を以下の記事では見ることができます。

 

参照:5Gは、わたしたちが思っている以上に社会を変える─工学者・玉城絵美が語る、ドコモ5Gが可能にすること(後編)

https://www.nttdocomo.co.jp/special_contents/5g/realization/articles/article_17/

 

実際、行われつつありますが、観光だけでなく、スポーツ観戦やコンサート、舞台演劇などが多角化され、マルチアングルで楽しんでもらうことで更なる没入感や満足度を提供できるようになります。

 

また、5Gはスマホやパソコンだけではなく、住宅、自動車や家電など、従来インターネットに接続されていなかったモノがインターネットに繋がり、そのモノ自体の情報のアップデートつまりIoTInternet Of Things:モノのインターネット)が可能になります。

それにより、観光業や旅行業としてもお客様に提供できるサービスはますます広がると言えます。

例えば、民泊ではゲストのチェックインに合わせてロックナンバーをメールで送り、ゲストはその番号で入室します。またゲストが変わればロックナンバーを変更するためセキュリティも高く、鍵の受け渡しも不要な為、アフターコロナやウィズコロナ時代の感染防止対策にもなります。

民泊をスマート化する動きもコロナ禍で増加傾向にあり、システム提供する企業さんも増加しています。

 

以下、PR TIMES より

参照:民泊運営を効率化!無人チェックインシステムの「&IoTスマートチェックイン」に スマートロック「L!NKEY(リンキー )」が連携を開始いたしました!

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000058452.html

 

参照:【民泊運営者必見!】「&IoTスマートチェックイン」がAirbnb公式パートナーのスマートロック「RemoteLOCK」と連携を開始いたしました!

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000058452.html

 

キーだけでなく、民泊のスマート化は進んでいます。

 

 

旅行業においては郵送物をデータ化することでメールでの送受信が可能になりメール受信がされ開封されたかどうか確認できるほか、郵送物があっても、受取側がIoT化されたポストを利用している場合は投函されたか、受取ったかどうかも確認ができるので、旅マエの忙しいお客様への確認電話も大幅に減らせます。

また、印鑑やサインもデジタル化されつつあるので、書類に記入して送る必要がある場合、出発まで日数が少なくてもハラハラすることも無くなるでしょう。

また、これは5Gに限ったことではないのですが、観光業/旅行業あるあるに挙げられる、非常に多いFAXのやりとり。この中で起きる可能性がある重大なミスとして間違った相手にFAXしてしまうという恐ろしいことも無くなります。万が一、そのFAXにお客様の個人情報が記載されていたら?と考えるとゾッとしますよね。それに比べ、メールやデジタルは1つでも間違えれば送ることすらできません。送信先メールアドレスをうっかり間違えた状態で送信してしまっても、「MAILER-DAEMON」や「Mail Delivery Subsystem」という“あなたの送信したメールは送れてませんよ~”という内容のメールを受信します。

それから、ほとんどのFAXは紙とインクを要しますが、相手側が紙やインクが切れていたら?メールやデジタルはそのような心配は不要で、且つ高速で相手に届き、経費削減や環境維持・保全にも大いに役立つのではないでしょうか?

 

話がちょっと脱線しましたが、通信環境が良くなるということは、お客様や取引先の大切な時間を奪うことも、ワクワクした気分を損なうことも防ぎ、その分お互いが有意義に過ごすことが出来るようになります。

 

 

 

◇◆課題は3つ?

色々なメリットについてお話してきましたが、5Gが世に出たからと言ってもやはり課題はあります。

 

1.デジタル犯罪

今までもそうでしたが、通信環境の発展と同時に高まるDX(デジタルトランスフォーメーション)の裏側ではデジタル犯罪とのイタチごっこが発生することも否めません。よって、利用する人がきちんと通信環境における対策を施すことが重要なことであるのは言うまでもありません。分からないから放置ではなく、分からなければ重大なインシデントが起きる前に必ず対策しましょう

 

2.      通信可能なエリアの普及

Gの恩恵を受けたオンラインツアーの発信をするためには、広い範囲での通信可能エリアが必要

 

3 利用者の増加

どんなに良いものでも利用者が増加しない限り、いつまでもこの体験は広がりません。5Gの利用には対応デバイス(機器)が必要になるためその購入にあたってコストが求められます。また、今のところ機器も契約料金も安価ではない為、5Gの恩恵を受けられるお客様もまだ少数

 

2,3については鶏が先か卵が先かの話になってしまいますが、おおまかに挙げるとこの3つなのではないでしょうか? 特に、2の通信可能なエリアの普及においては都市部エリアだけではなくオンラインだからこそディープなエリアから発信できるまた、受信できる状況が必要です。

 

 

 

 

◇◆まとめ

急速に進化する通信テクノロジーによって、利便性の高い社会が構築されつつあります。

その陰で、静かにデジタルに奪われてしまう仕事もあることは否定できません。だからこそ人間にしかできない部分をより追求し、より人間らしさ、その人らしさを磨き露出していく必要もあるのではないかと思います。

今回は5Gについて観光業/旅行業が受ける恩恵についてお話しましたが、メリットとデメリットを踏まえつつ進化するテクノロジーを有効活用していくことが重要だと考えます。テクノロジーの進化によって今まで出来なかったことが出来るようになり、多様性が広がったこの時代であるからこそ、さまざまな状況に対応した観光業/旅行業の発展が求められているのではないでしょうか。

 

 

 

 

ライター:カイトマウリ(JOINT ONE)