自国通貨決済、免税手続きの電子化!?インバウンドの新常識にどう対応するのか

10月7日 18:18配信

自国通貨決済、免税手続きの電子化!?インバウンドの新常識にどう対応するのか
自国通貨決済、免税手続きの電子化!?インバウンドの新常識にどう対応するのか

2021101日、免税販売手続きが電子化されるというあらたな動きが開始されました。今後のインバウンド向けビジネスにおいて大きな変化であり、新常識の一つと言えます。

 

【観光庁】免税販売手続の電子化特設サイト:

https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/denshika.html

 

今回は、このようなインバウンドを見据えた観光業界の動向を紹介しながら、今後の方向性を考察していきます。

 

 

 

◇◆決済、チケットのデジタル化

インバウンド旅行者にとって、決済方法の選択肢は以前より増えている中、自国通貨で決済できるというあらたなサービスが開始されるとのこと。

三井住友カードのオールインワン決済端末「stera terminal」の機能に(「stera dcc」というサービス)が拡充されることで対応が可能になるということです。

通常、日本での買い物は日本円建てで決済され、利用額請求時にその時点の為替レートで自国通貨における請求額が確定するが、当サービスでは決済時に自国通貨を選択できる為、利用額請求時の為替リスクを気にせずにカードを使えるようになるというメリットがある。

アメリカドルを始め20種類の通貨に対応しているとのことで、今後のインバウンド決済の新常識となる可能性もありそうです。

 

訪日客が自国通貨でカード決済できる「stera dcc」:

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1351268.html

 

また、予約や決済の利便性向上と観光周遊促進をセットで考えた「キーパス高野山」の実証実験も興味深い内容です。

高野山とは、国内外から訪問者の多い和歌山県の名所です。その高野山で、2021101日から、電車、バス、観光施設などのチケットの予約・決済・発行・利用がスマートフォンで可能となる「キーパス高野山」と「Visaタッチ決済」の導入を合わせて、実証実験を開始している。

交通、観光をまとめてスマホ一つで楽しめるということですが、キャッシュレス決済とチケットのデジタル化で非接触対応をエリア全体で推進しているということを、「キーパス高野山」というキーワードでPRできることが、ウイズコロナ時代の観光誘致としてプラスに働くのではないでしょうか。

 

キーパス高野山:

https://kii-pass.com/koyasan/

 

インバウンド回復を見据えたデジタルチケット化の動きは他にもある。

箱根エリアの観光関連サービスを運営する小田急ホールディングスは、2021101日の観光情報サイト「箱根ナビ」の大幅リニューアルを皮切りに、段階的にチケットのデジタル化を進めていく。最終的には、宿泊施設や観光スポットと連携した予約や決済などの一元化も推進するとのことだが、その過程で発売を予定している、箱根エリア22施設が何度でも利用できるサブスクリプションサービス「箱根遊び放題チケット(はこチケ)」などのユニークなサービスは他の地域でも参考になるのではないでしょうか。

 

小田急、観光情報サイトで交通系・観光サブスクなど13種のデジタルチケット販売開始へ、箱根エリアで:https://www.travelvoice.jp/20210924-149679

 

 

 

 

◇◆決済やチケットのデジタル化から見える今後の方向性

ウイズ/アフターコロナの時代、非接触決済やチケットのデジタル化を推進することは必然の流れである為、それだけでは観光誘致につながりません。むしろ対応しているエリアや施設は当然であり、対応できていないということが旅行者にとってマイナスに映ることのデメリットの方が大きいように思います。

そのことからも、上記の事例のように、デジタル決済、デジタルチケットをベースにさらにもう一歩・二歩踏み込んだサービス展開が必要になってくるでしょう。

 

さらにインバウンドにおいては、デジタル化に加えて

 

・多言語化

Wi-Fi環境

・交通手段

・ガイド

・食、文化の多様性への対応

 

などの元々あった課題も含めて解決及びアップデートしながら、インバウンド回復期に備えていくことが重要です。

ただし、ウイズコロナ時代の観光対応や決済、チケットのデジタル化などに意識が向かい過ぎると、「各地域独自の観光の魅力」という本来旅行者に最も体験してほしい「本質」を見失ってしまう可能性もあります。その為、デジタル化はあくまでも、その「本質」を伝える為の「手段」であり「目的」ではないことを把握した上で、観光サービスのブラッシュアップや開発をしていく必要があります。

 

 

 

 

 

◇◆まとめ

免税手続きの電子化など、観光、インバウンド業界として大きな変化は今後も起こり続けることでしょう。そんな時、あらたな常識には対応を強いられることが大半ですが、大きな変化が起こる時にはビジネスチャンスが潜んでいることも多々あります。

 

新常識をポジティブな変化に変換し、地域活性化、観光立国に向けて業界全体で協力しながら新常識とうまく付き合っていきましょう。新型コロナウイルス禍という大きな時代の変化に対応できた方々はきっと大丈夫。

 

 

 

著者:JOINT ONE 嶋田 拓司