京都の新しいおもてなし 3密回避のレストランバスも登場

非公開場所での朝食、3密回避の少人数ツアー……。訪日外国人が激減し、大打撃を受けた一大観光都市・京都で、起死回生を図る新しい「おもてなし」の形が続々と登場している。

 

 市内ホテルでの外国人の宿泊がほぼゼロに近い状態は4月以降、依然として続く。国や市の消費喚起キャンペーンなどを背景に日本人宿泊客数は7月に前年同月の5割まで回復したものの、まだ観光客の足は戻っていない。そんな中、おもてなしのプロたちが1人でも多くの日本人観光客を呼び込もうと、様々な工夫を凝らしたツアーや観光プランを打ち出している。

 

 7月に芸舞妓の舞と京会席をセットにした日帰りプランを始めた「なごみ宿 都和」の女将・太田佳子さんは「宿泊客が95%減と厳しい状況が続き、何ができるかを考えました。芸舞妓さんの京舞ではんなりとした気持ちになっていただければ嬉しいです」と期待を込める。

 

■旧三井家下鴨別邸  画像(https://www.news-postseven.com/archives/20201009_1601487.html?IMAGE&PAGE=2)

 

【住所】京都市左京区下鴨宮河町58-2(水曜休館)※要事前予約

 

 国の重要文化財に指定されている旧三井家下鴨別邸で朝食を楽しむプラン(1人3500円、別途入館料500円)。三井家の祖霊社を参拝する際の休憩所として大正14(1925)年に建築。その際、明治13(1880)年建築の三井家の木屋町別邸が主屋として移築された。

 

 コロナ感染防止対策として、3密を避けるために1日5組10人までの少人数制で今年7月から始めた企画で、好評につき実施日を順次追加。現在、12月25日までの日程が発表されている。午前9時から、通常非公開の主屋2階座敷で庭を眺めながら精進料理の名店「泉仙」の精進鉄鉢料理を楽しむ内容。通常非公開の3階望楼も特別に見学できる。

 

 

■WILLER 京都レストランバス 画像(https://www.news-postseven.com/archives/20201009_1601487.html?IMAGE&PAGE=5)

 

【集合場所】京都駅八条口観光バス乗降場 ※2日前までに要予約

 

 ルーフが開閉し、開放感あふれる2階建てレストランバスで京会席ランチを味わいながら、観光名所の眺めを楽しむ2時間半のコース(1人7000円~)。季節の京会席ランチコース(全9品)は1品ずつ運ばれてくる。別料金の飲み物は地酒やワインなど充実。

 

 観光ガイドが乗車し、三十三間堂、知恩院、平安神宮、二条城など多くのスポットを巡る。バス2階から見る平安神宮大鳥居は迫力満点。清水では下車して30分間の散策を楽しめる。

 

 

「観光公害」の減少で京都は“穴場”になっていた

コロナ前の京都は外国人観光客の急増で「観光公害」が深刻化。祇園町では、私道で芸舞妓を無断撮影するなどの迷惑行為に罰金を請求する厳しい内容の注意書きが掲げられるほどだった。だが、コロナ後は迷惑行為が減り、新しい高札は“はんなり路線”に転向。清水寺前などは、9月の4連休は賑わったが、翌週土曜は閑散としていた。古都は今、落ち着きを取り戻し、そぞろ歩きを楽しめる“穴場”となっている。

 

*表示料金は「Go Toトラベル」を利用しない場合

 

■撮影/太田真三

※週刊ポスト2020年10月16・23日号

 

出典:NEWS ポストセブン

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