「山ノ内置家会 先と三」芸者の夕霧さん インバウンドに可能性感じる

子供の時分、湯田中渋温泉には芸者さんが町並みを歩いている光景がごく普通でした。実家が置き屋をしていたので、物心ついたときから、何の抵抗もなく芸者さんとふれあっていました。

 

 今では芸者の仕事を本業でやっている人は2、3人でしょうか。お手伝いで宴会に出てくれる方を含めると10人くらいです。

 

 とても寂しいと思いますが、お客さん方の価値観が変わり、スナック、バーなどができて、宴会そのものが少なくなっています。着物姿を見たお客さんに「格好が重そう」とからかわれたこともありました。

 

 芸事には踊り、三味線、長唄、小唄、鳴り物などたくさんあります。幸いにも踊りのお師匠さんは身近にいましたが、ほかの分野はいなかった。つてを頼って紹介してもらい、習わせていただきました。

 

 今でも毎日、2~3時間はお稽古の時間をとりたい。踊りはしばらくしていないと、自分でもおかしくなることが分かります。三味線もそうで、指がもたもたしてしまう。

 

 芸事の神髄を理解してくださるお客さんもおられて、「踊りに芯が通っていない」と言われたりすると、一番、応えます。お師匠さんにお稽古のときに叱られるのは親身になっているからこそ。そんな親心を無にしてしまったみたいで。

 

 インバウンド(外国人旅行者)にとても可能性を感じています。家族旅行でお呼ばれしたときには、お子さんでも楽しめる「とらとら」「金比羅船々」などのお座敷遊びを披露したりします。ハネムーン旅行の若いご夫婦にお呼ばれしたこともあります。

 

 日本の伝統芸能を目の当たりにして、楽しんでいただけたかなと、こちらもうれしくなります。日本の若い方たちにもそんな気持ちで接してほしい。

 

出典:産経ニュース

http://www.sankei.com/region/news/180322/rgn1803220050-n1.html