旅客機が飛べない現状を何とかするために大型ジェット機が貨物機として運用され始めている

新型コロナウイルス感染症の流行で、ストリップクラブがストリッパーを派遣するデリバリーサービスを開始したりと、これまでのビジネスを変えざるを得ない状況に追い詰められている人や企業が多く存在します。各国で渡航制限が行われ大打撃を受けている航空産業も同様で、アメリカン航空は過去36年で始めてボーイング777-300といった大型ジェット機を貨物専用で運航しているとのことです。

 

アメリカ国務省は2020年3月20日に、世界全域を対象に警戒4段階で最高の「レベル4」(渡航中止)を発令しました。これにより航空業界は大打撃を受けることになり、アメリカン航空グループの最高経営責任者であるダグ・パーカー氏は政府に対し580億ドル(約6兆3900億円)の援助を求めました。政府に送られた文書の中には「航空機が飛べない状態では、技師やフライトアテンダント、パイロット、ディスパッチャー、そのた空港職員は家族を養うことができません」とつづられていたとのこと。

 

このような状態の中で、「クリエイティブな解決策が必要だ」としてスタートしたのが貨物機の運用です。アメリカン航空によると、ボーイング777-300は乗客を一切乗せず、衣料品や軍の手紙、オンライン商取引の商品、在宅で働く人のためのオフィス器具などを運んでいるとのこと。フライトは3月20日(金)に始まり、ドイツのフランクフルト空港からダラス・フォートワース国際空港までをその後4日で2往復しています。

 

 

アメリカン航空は1984年までボーイング747を貨物運搬用に運用していましたが、ボーイング747が引退したあとは旅客機のみが運用されていたため、貨物機が就航するのは36年ぶりとなります。

 

アメリカン航空は450機の飛行機を所有し、うち75%は国際便、30%は国内便とのこと。2020年4月だけで5万5000便ものフライトがキャンセルされており、休眠状態となるワイドボディ機は130~150機にのぼります。このうちの1つであるボーイング777-300は10万ポンド(約4万5000kg)を越える荷物を運ぶことが可能とのこと。

 

同様の取り組みはデルタ航空・大韓航空・カンタス航空も行っています。大韓航空会長のウォルター・チョー氏は、「旅客機の運用がブロックされた以上、旅客機と貨物機をシフトせざるをえません。私たちは市場の要求に対して柔軟でなけれなならないのです」と述べました。

 

 

出典:Gigazine

https://gigazine.net/news/20200327-american-airlines-announces-cargo-only-flights/