アフター/ウイズコロナの東京2020オリンピック/パラリンピックとインバウンド集客を考える

17:15配信

■新型コロナウイルスの影響で延期された東京オリンピック/パラリンピック

新型コロナウイルスの影響で2021年来夏に延期された東京2020オリンピックについて、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会は6月10日、「延期に伴う費用と負担を最小化し、国民・都民から理解を得るべく、競技と選手に重点を置きつつ、効率化、合理化を進め、簡素な大会とする」との大会原則を定めた。

実施33競技や約1万人の参加選手については「基本を維持しつつ、新たな状況にも即した対応を行う」としているが、「簡素な大会」となる東京オリンピックはどのような形で開催されるのでしょうか。インバウンド旅行者への影響と開催までのアプローチについて、アフター/ウイズコロナの対応を含めて考えてみました。

 

■アフター/ウイズコロナの状況で考えられる東京オリンピック/パラリンピックの形

安心・安全を確保した上で「簡素化」される大会の実施に向けて、大会組織委員会が検討するべき項目が250あるとのことで、検討することは山のようにあることは容易に想像ができますが、会場での観戦者数が制限されることは間違いないでしょう。その為、パブリックビューイング会場など会場外の観戦スペースが予定より多く設置される可能性があります。

ただし、当然のことながらコロナ対策を万全にした観戦会場でないと本末転倒ですが、国内外の観戦者が集まって観戦する場が一カ所でも多くあることは大会を盛り上げる意味で良いことです。一方で、会場での観戦者が減るということは自宅のテレビで観戦する方が増えることになります。その為、プロモーションの観点からするとテレビCMやネット広告の影響力が高まることが想定されます。

また、東京オリンピックが開催される頃には、リモートワークやオンライン飲み会などビデオ通話が今以上に生活に浸透している中で、オリンピックの配信や関連したサービスもリモートで行うことが当然になるなど、過去のオリンピックからは想像もできなかった大会になるのではないでしょうか。

 

■東京オリンピック開催に伴うインバウンド旅行者の動向とプロモーション

では、東京オリンピックを観戦するインバウンド旅行者の動向はどうでしょうか。アフターウイズコロナの環境であらたな生活様式への対応が世界中で強いられています。そんな中、大会自体「簡素化」することが決定した現状では、来日する旅行者もコロナ発生前の予想よりは減ってしまうことは致し方ないと思います。ただ大会が開催されれば、オリンピック観戦を目的としたインバウンド旅行者は必ずやって来るので、日本としては海外プロモーションの戦略を検討する必要があります。オリンピックにおけるインバウンド旅行者へのアプローチポイントを「タイミング」と「客層」から考えてみましょう。

まず、以下のタイミングを目安にインバウンド旅行者へアプローチすることが重要です。

 

<東京オリンピックのインバウンド旅行者にアプローチするタイミング>

①チケット抽選及び当選確定時期

※ロンドンオリンピックの時は大会時期から14ヶ月程度前と~6ヵ月程度前

②開催直前(1ヵ月前から開催までの間)

③開催中(訪日中)

 

チケット当選(上記①)することで訪日することが確定します。このタイミングで旅行計画を検討(検索)する旅行者が急増する為、特に観光地や宿泊施設など早いタイミングで認知度を上げる必要があるサービスは、日本の情報を探す方に向けて適切な手法でプロモーションしましょう。ただし、海外在住者のチケット購入スケジュールは現時点(2020年6月17日)では未定となっておりますので、詳細情報は東京チケット販売サイト(https://ticket.tokyo2020.org/)で随時確認が必要です。

 

一方、飲食店やアクティビティなど訪日直前から訪日中のアプローチでも遅くないサービスは、大会開始直前のタイミングから予約サイトやSNSの露出を強化し、訪日してくる旅行者に直接クーポンをサンプリングするなどの手法が有効です。サンプリング手法としては、ポケットWi-Fi・SIMカードへの同梱、ホテル・ゲストハウスからのサンプリングが可能です。ご興味ある方はご連絡ください。

 

次に「客層」ですが、オリンピック時に訪日するインバウンド旅行者は通常時とは異なる可能性があります。その理由の一つとなる現象が「クラウディングアウト」です。

「クラウディングアウト」とは、2012年ロンドンオリンピック時にも発生した現象で、国際的な大型インベントの際イベントを目当てとする旅行者の集中的な急増で宿泊や航空券の価格が高騰することなどからそれを嫌う通常の旅行者が減るという現象です。

その為、東京オリンピックでも「クラウディングアウト」が発生すればインバウンド旅行者の全体数は平年より減少する可能性があります。

ただし、「客層」という観点から見れば特別なビジネスチャンスがあるとも言えます。通常と異なるインバウンド旅行者であるということは、オリンピックがなければ接触できなかった「客層」に日本の良さをアプローチできる可能性があるということです。

また、旅行者数についても、オリンピック後に通常の旅行者が増えて結果的にはインバウンド旅行者数は増加する傾向にあることは、今までのオリンピック開催国でも起こっている現象である為、インバウンド市場におけるオリンピック開催はどちらにせよプラスの効果の方が大きいと思います。

 

 

■まとめ

今回は、東京2020オリンピック、インバウンド旅行者、アフター/ウイズコロナ、の3つのキーワードを絡めて考えてみました。東京2020オリンピック開催決定の勝因の一つには日本の「安心・安全」への評価もありましたが、新型コロナウイルスの発生で今まで以上に「安心・安全」が求められる世界になりました。

そんな中、オリンピックの成功とインバウンド旅行者の満足度を最大化する為には、”感染”しない・させないを大前提に、安心・安全の”観戦”を提供するという二つの”KANSEN”のコントロールが重要となってきます。

 

著者:JOINT ONE 嶋田拓司